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CSR-NPO未来交流会
講演2 マッチング事例(行政・市民・学校・研究者)

~ 海をより身近に! ~
「市民活動における横浜港インナーハーバー利用とルールつくり」

一般社団法人横浜水辺のまちづくり協議会
理事 竹口 秀夫

横浜市の中心市街地は、戦災(火災)にあいました。また戦後、米軍の接収地も多くありました。そういう中で都市づくりが遅れていましたが、首都東京に隣接していることもあり、人口の急増がありました。このため都市機能が弱かった点があります。
1960年代、当時、飛鳥田市長のもと、みなとみらいのプロジェクトをはじめました。そのエリアにあった、三菱重工の横浜工場、貨物駅などを移転集約し、76ヘクタールを埋め立て、180ヘクタールを造成ました。そこまでやったのだから、ベイブリッジから山側などは、市民に開放したいという方針を横浜市が出しました。

課題はどこにあるのか

この現状の中で、一般社団法人横浜水辺のまちづくり協議会のメンバーには、様々な立場、行政、学識経験者、利用者の方がいました。この力もあり横浜港インナーハーバー利用促進策を作り上げようとして、具体的な取り組みを行いました。

先行事例の研究~シーカヤック航行ガイド作成を実施

課題の所在

2015年の大幅な改定のうち上図表で示した赤字の箇所に着目する必要があります。
①汚染の予防、②持続可能な資源の利用 、③気候変動の緩和及び気候変動への適応 、そして ④環境保護、生物多様性及び自然生息地の回復です。特に④を新しい課題としてとらえる必要があります。

横浜港利用のための検討活動

メンバーの中でNPO法人シーフレンズからは横浜港を利用したいなどの意向を確認し、さらにそれだけはなく、神奈川県域で調査を行い、シーカヤックの方々は、横浜港で行いたい意向をもっていることを確認しました。
また参考としたのは、北米大陸西海岸では、シーカヤックが盛んにおこなわれていることがわかり、日本でいう海上保安庁に相当する機関が作成している資料を検討してきました。また、知床半島、伊勢湾などのシーカヤック活動の記録なども参考にしました。
利用者とのコンセンサスをどうとっていくか、という経過、課題から検討しました。
横浜港インナーハーバーを市民に開放し、利用するという課題に取り組んだ事例です。
利用者が自主的にルールを設けることで関係者の理解と納得の上でのインナーハーバーの利用促進を考えました。その結実が、『シーカヤック航行ガイド』の作成でした。

 

コミュニケーションの継続による理解促進

シーカヤック航行ガイド・具体的な取組

一般社団法人横浜水辺のまちづくり協議会の理事が中心となりメンバーと一緒になり研究会、ヒアリング、ルール作りを行ってきましたが、利用する立場からすれば、いつでもどこでも利用したい意向があり、「もともと公共財なのだから自由でしょ」という理由、反面管理する側は、公共資産を利用している、安全管理を優先させたいという視点・要素(管理瑕疵への懸念)を持っています。
また港湾事業者サイドから見ると、シーカヤックの存在は、一人乗り、3メートル未満、標高ゼロメートルの水面ギリギリという形状です。大きな船からは、まったく見えない、目視確認ができないという条件があります。事故の発生が懸念されました。
このための知恵として、大きな旗をカヤックに立てる。さらに港湾管理者への手続きとしては、ルールの周知・順守、モラル・マナーの徹底の相互にレスペクトしながら話し合いを続けていきまました。このような活動により理解が高まってきました。

ルール作り 今の取り組み、さらなる進化

現在の取組

シーカヤックのファンを作りさらに理解促進を図るために、下記のような取り組みを実施しています。
横浜国立大学と神奈川大学の大学生の単位が修得できるシーカヤックを利用した水の環境への理解学習の実施をおこなっています。
横浜港関係者交流を図りシーカヤック体験会による理解促進活動に取り組んでいます。最後に
横浜をもっと面白くする研究会活動を行い、市民の皆様にどうしたら、面白さを享受してもらえるかの研究活動を行っています。
海辺で遊ぶ方はたくさんいます。そして遊び方も多様です。SUPの方、つり人の方、さらには、ジェットスキーの利用者の方、それぞれが、自分中心にだけ考えているわけにはいきません。そのためにもインナーハーバー利用者へのルールの徹底が必要となります。また、乗降場の確保が今後大きな課題で、数が限られているので、その利用方法も課題となります。これらの解決に向けた検討を行っていきます。