■講演-1 企業CSRとマッチングについて

美しく豊かな東京湾再生を目指して
 ~企業CSRとのマッチング~

NPO法人 海辺つくり研究会 木村 尚

 東京湾 横浜港内のアマモ場はだいぶきれいになりました。これは元々の東京湾だった地図です。明治時代の東京湾漁場(ぎょじょう)図にアマモ場の分布を示しています。

  かっては、江戸前の日常として人と海がつながっていた時代があった。「現在、人間のDNAも自然と接していないと正常に機能しない」ということがわかってきた。また自然と人間との関係性の中では、日本人の中にもその共生関係が存在するということは、昔から理解されていた。

 東京の海、千葉の海など環境も異なっています。湾も時間経過とともに、固有化している。同時に、人間の多様性も形成され強くなってきます。環境が変化し悪くなるとともに、時を経て人と湾が分断されてきています。

 あらためて東京湾と人間の生活をとらえた時に、分断されていることを感じます。この分断状態でいいのかという疑問が湧いてきます。

 東京湾の湾比較表を見てみると、東京湾の流域には、現在3000万人の人が住んでいます。その方がたを巻き込んでいくには、どうすればよいのか。埋立地を境にして分断されている東京湾を良くするには、なんとか干潟、アマモ場を増やしていくだけではなく、途切れた関係を繋ぎ直さないとよくすることはできない。過去の東京湾の変遷をかんがみて、アマモ場を良くすることを試み始めたのが海辺つくり会の活動の始まりとなった。

  会のさまざまの活動の中でも、「陛下からのアマモの苗を手渡されたり、ガチャピンも来て苗を植えたりとか、アマモ移植会漁協さんのアマモ播種イベントの協力を得られるまでにいたった」さらには、アマモを使った横浜市金沢区瀬戸神社「無垢塩祓い」藻刈りの神事も復活するなど、アマモもみなさんの意識の中に地域に定着し始めていると感じられます。最近では50か所以上のアマモ場育成活動が全国に広まっています。

 このような活動を通して、環境省、水産庁により海外へも波及しています。その中でも、アマモを単純に増やすことからさらに今では、アマモを通してその地域のコミュニティを形成していくような活動になってきています。高校生サミットなどもその一つの姿です。

 東京湾への関わり方もさまざまな関係性、関わり方があります。たとえば、食からのアプローチや産業からのアプローチもあます。

 アマモの育成活動を、開始して15年が経過し、市民団体、研究者、子どもたちが関わり育ててきています。連携組織を作り協力していく実行スタイルとなっている。もちろんこれらの活動は、企業からの助成金により支えられている面も多くあります。

  さらにこの輪を広げていくに当たり、安全安心に育っていく子どもたちのためにも、こうしたコミュニティが今後の日本の経済を成長させていくことが重要となります。それでも、現在年間3,000人ぐらいの方の参加にとどまっています。私たちが実行しますから助成金として支えてくださいと言うよりは、企業活動の上で企業内コミュニティが重要で、我々が支えますから企業の方も一緒に参加しませんかという考え方のほうが、大きく参加の輪が広がります。今年は、高千穂、セブンイレブン、三菱電機、マルハニチロ、東京海上日動などの企業の方々が、参画してくれました。「3000万人も夢ではない!」新たな参画をお待ちしています。

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