■講演-2 マッチング事例(企業)

UMIプロジェクトに参加するまで
~環境活動への取り組み~

(株)高千穂 R&Dセンター  眞次 美奈子

 (株)高千穂は、環境共生、自然素材、自然エネルギー利用にこだわった住まいづくりと共に、南九州に堆積する火山噴出物・シラスを活用した環境共生に役立つ建材やシステム、画材の開発、さらに農作物栽培技術の開発に取り組んでいます。
 代表的な事業例をご紹介いたしますと、シラスを原料とした自然素材100%の壁材を使った「鹿児島県上野原縄文の森展示館」、雨水涼感空調システム「クルクール」、千葉大学産学共同研究事業「ケミレスタウン○R・プロジェクト」実証実験棟「シラス+αの家」などがあります。また、シラスを原材料とした100%自然素材の水彩絵具「シラスカラー」の開発や環境への貢献を旨として、ビオトープ池(東京都江東区集合住宅街共有地、横浜市・一般住宅、葉山町・一般住宅等)の施工にも取り組んでいます。

 2013年に東京湾UMIプロジェクトに参加したのも、このような事業活動を積み重ねてきた、環境への貢献を旨とする取り組みの延長線上になります。

 東京湾UMIプロジェクト(以下、UMIプロ)は、東京湾再生のため企業、NPOなどの積極的な官民連携により、アマモ場(ベイサイドマリーナ隣接公共水域(金沢区白帆))の再生に取り組む活動です。
 (株)高千穂は、2013年にUMIプロの参加企業として選定されて以来、アマモの苗の育成管理に取り組んでいます。毎年11月に土を作って(川砂、腐葉土)アマモの種を播く「アマモの苗床づくり」のイベントを実施してきました。アマモは、種を播いてから約1ヶ月で発芽します。成長が著しくなる2月下旬~3月初旬には水流ポンプを設置したり、日除け用ネットを張ったりしながら5月初旬に50センチほどの苗ができるまで水槽を管理します。水槽管理には、社員、漁師の方々、さらには、UMIプロ活動を広く知ってもらうため市民の参加を募って行ってきました。また、育成管理中にはアマモの観察会や環境学習会なども開催しました。
 このように多様な方々の協力を得て、アマモを公共水域に移植するまでが一連の活動となります。市民の参加者も募って育てた苗の移植準備を行い、ダイバーの方々に実際に移植してもらうことになります。今年の5月頃には、公共水域の水面から見えるほど、繁殖状況がわかるような規模に育っていました。

 (株)高千穂がこのプロジェクトに参加するまでには、環境問題にどのように取り組み、どのような取り組みなら継続していけるか、思考錯誤がありました。その経過は、次の表にまとめています。最初は、CSR活動の一環として2008年に横浜市の環境活動団体への活動支援からスタートしました。

 支援団体の選定にあたっては公募を行い、

①自社が参加可能
②活動を支援していることを広報活動の一環とすることができること

を重要な条件としました。

 これまでCSR活動として環境活動を継続できたのも、自ら参加し、協力団体と友好的な活動ができたこと、また、社内・社外で活動への理解を深める努力を実施してきたことが大きく寄与しています。

 理解を深めるために広報活動は重要で、自社でのウェブサイトにより活動の様子を紹介し、顧客や契約店などに配布する情報誌や新聞などにCSR活動を掲載し、UMIプロのイベントのプレスリリースなども実施してきました。

 さまざまな立場の方が、それぞれができることで協力しあうことで、プロジェクトが成立し、良い方向に向かうことができると思います。

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