NPO法人リトルターン・プロジェクト事例
東京港中央防波堤内側埋立地を後にして、向かったのはコアジサシの営巣地となっている東京都下水道局が管理する森ヶ崎水再生センターです。
一つの出会いやきっかけ・事象が大きな結果を生み始めていると感じられる訪問になりました。そこには想像していた以上に広い屋上営巣地が広がっていました。
15:10 ~ 16:40 東京都大田区昭和島2-5-1【森ヶ崎水再生センター説明及び見学】
・屋上コアジサシ営巣地
・水再生センター 西施設
コアジサシの営巣支援と水再生センターの協力
野鳥・主役はコアジサシです。この時期は旅立ちをして、今は跡地でしかありませんが、また、時期になると飛来してきます。
2015年の営巣経過
2015年、ここにコアジサシが2,000羽飛来し、1,531の総営巣数があり、雛が2,200羽生まれて、そのうちの1,100羽が巣立ちました。日本の中で最大の規模だと思われます。
2002年に最初の営巣地が、大田区と東京都下水道局の協力をえることにより実験的に整備が開始されました。当初は、下水処理の過程で発生する汚泥を焼成したスラジライトを引き、2ヘクタールの広さでした。(屋上の下段にあり写真には写っていません)
きっかけとなったのは、(NPO法人東京港グリーンボランティア・八木代表説明、NPO法人リトルターン・プロジェクト・松村理事説明)森ヶ崎の鼻干潟の鳥類調査中にたまたま、小魚をくわえたコアジサシの飛んでいく方向を観察して、施設屋上で営巣している状況を見つけたのが最初になります。営巣していた屋上は、コンクリートむき出しで何もないので風で卵が飛ばされているのが現況でした。
東京都にも文書で保護・整備などの要請をする活動の中、森ヶ崎水再生センターのご理解をいただき、屋上営巣地整備を進展することができました。行政サイドに理解力のある担当の方がいらっしゃったのが、大きく進展した結果です。また、屋上営巣地整備作業には多くのボランティアの方にお手伝いをいただき、当時水再生センターで作っていた「汚泥を利用したレンガ」を営巣地で利用したり、貝殻を千葉からとりよせるなど、営巣しやすい工夫をおこなってきました。
また、コアジサシの飛来には、増減数があるため、最初の段階の2002年から2003年にかけての飛来数は多く、その後、減少し少ない場合などもありました。大田区の運動場用地候補の計画やコアジサシの飛来数減少にも関わらず、森ヶ崎水再生センターにはご理解をいただき、コアジサシ営巣地として継続した整備を行い、現在に至ります。
さまざまな工夫による営巣環境の整備活動
現在までにコアジサシの営巣しやすい、好んで営巣する状況を作り出す活動を行ってきました。さらに営巣状況を調査しやすいように、エリアを区分けしながら研究しています。
営巣地は夏の状況化下(最も暑いとき屋上営巣地の表面温度は55度になる)の中では、卵が茹ってしまいますので、卵を保護する意味でも貝殻をまいています。貝殻には温度を下げる効果もあります。
水場を作り、卵の温度調整のために親鳥が水で冷やすことに使用できるなど工夫をしています。これにより親鳥が巣から離れる時間を少なくしています。
また、カラスに狙われることが頻繁に起きるため、カラス除けのいやがらす(2013年にから設置、ステンレスのスプリングの真ん中に羽がありくるくる回る仕掛け)を使いカラス侵入防止を行っています。この効果は大きく、卵や雛がカラスに食べられるが少なくなり3年連続で、巣立つ数が増えています。
★見学者からの質問に寄せて
今年は屋上全体で832体のデコイ(木の模型)を設置し、コアジサシの営巣地として安全だとアピールをしています。また同じような環境で繁殖をするコチドリやシロチドリなども営巣しています。
コアジサシは、最近では千葉県の三番瀬に集まり、一斉に渡っていきます。2015年8月の集結は3、000羽程度でした。5〜7月の繁殖期、卵は3週間ほどでふ化します。ヒナは20日間くらいで飛べるようになりますが、両親の給餌を受けながらさらに成長し、8月~9月には南の国へ渡っていきます。ここ以外の東京湾内の営巣地として葛西臨海公園西渚などがありますが、繁殖があまりうまくいっていないのが現状です。
今までの活動では、その都度募集を行いボランティアの方にお手伝いをいただいています。今年は飛来数も多く、ボランティアの方も延べ500人以上に上ります。
このような活動は、企業からの協力、例えば貝殻は、鹿島建設と五洋建設の方に運んでいただいたり、さまざまなグループの方々の支えにより成立しています。他にも同様な候補地があるとしても、結局のところ中心になる方がどれだけの広がりを作り出し、協力していただけるかにつながっていきます。また、営巣環境だけでなく周辺の採餌環境も重要なファクターになります。
最近では各地から問い合わせを受けて出かけていき、興味のある団体へのアドバイスなどの活動も実施しています。
また、毎年の調査結果を踏まえ屋上営巣地の改善を行ってきています。雛が隠れる場所などシェルターを作ったりしているのもその一つです。さらに交流会を実施して、下水処理の話題とコアジサシの話題を実際に取り上げてきました。PR面でも協力関係を取り上げてもらい、相互の関係性の中でまったく異なった活動の中での意味を見出す努力をしています。
一般の方が観察できるのは、6月の終わりと7月の初めの年2回の観察会です。
詳細は、http://www.littletern.net/index.htmlにお問い合わせください。
1.開催日時 | 平成27年12月10日(木)13:00~17:30 | ||||||||||||||
2.開催場所 | 東京港中央防波堤内側埋立地/海の森プロジェクト および 東京都大田区昭和島/森ケ崎水再生センター |
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3.主 催 | 東京湾再生官民連携フォーラム 事務局 | ||||||||||||||
4.協 力 | 東京都港湾局、東京都下水道局、東京都下水道サービス(株) NPO法人樹木・環境ネットワーク協会、NPO法人リトルターン・プロジェクト |
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5.プログラム |
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